今さらビッグ・ウェンズデー

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土曜日のサーフィンで指先をプチ負傷して、傷自体はたいしたことはないのですが傷口がある状態で海に入るのはちょっと嫌だなという感覚があったので、その感覚に従って素直に陸で過ごすことにした日曜日。

暇なので、相方と一緒にサーフィン映画としてあまりに有名な『ビッグ・ウェンズデー』を観ることにしました。

実を言いますと、ちゃんと観るのはこれが初。というのも、この映画の解説には必ず「水曜日にやってくるという伝説の大波に挑むことが夢だった男たち」というようなくだりがあるがために、サーフィン映画にありがちな大波に挑む物語だと勝手に思い込み、食わず嫌いならぬ、観ず嫌いをしていたのです。

なぜ大波に挑む物語だと観る気がしなかったのかというと、大波に挑むことだけがサーフィンのすばらしさではないという気持ちが強いからです。

いや、もちろん、大波に挑むことはすごいのです。わたしはできない。大波を乗りこなした人にしかわからない魅力、辿り着けない境地は絶対にあるだろう。でも、サーフィンの楽しさとか素晴らしさはそれだけではありません。それなのに、ちまたにはどうもサーフィン=大波という、安易なステレオイプができている気がして、どうにもげんなりしていたのです。

が、しかし、『ビッグ・ウェンズデー』はそういうステレオタイプなサーフィン映画ではまったくありませんでした!(知っている人はなに今さらっていう話ですけど…)。

たとえば、波乗りをしているときの映像の切り取り方、セリフの選び方、などなど、サーフィンが好きな人なら共有しているフィーリングが細かく、しかし丁寧にちゃんと散りばめられていて、監督自身がサーフィンに魅せられた人だってことがわかる映画でした。映像を見ながら、水の冷たさ、匂い、もっと言えば、登場人物(サーファー)の胸の高鳴りまで感じられ、独特の感覚をとてもうまく表現していると思いました。

60年代、70年代のカリフォルニアのサーフカルチャーと、その推移を垣間見られるという点でも面白い映画です。また、少年から大人になるということを描いた青春映画としても観られるのでサーファーでなくてもたぶん心に響くものがある作品だと感じました。

私個人の感想として付け加えると、教科書の中の出来事だったベトナム戦争が現実の身近なものとしてこんなにも自分の中に入ってきたのは初めてのことでした。事実を報道し、人々に気付きを与えるジャーナリズムの力もすごいけれど、それを自分ごとに置き換えられるように昇華させて人々に気付きを与えるフィクションの力もやはりすごいなぁ。

私はどうもクラシックなサーフィンが好きで、そのような乗り方を楽しめるサーフスポットが好きなために、知り合いには60代後半や70代のサーファーがいっぱいいます。ビッグ・ウェンズデーの物語はまさに彼らの世代。大きな子どもみたいな、少年のようなおじさまばっかりですが、彼らにも、ベトナム戦争で失った友だちがいたり、ジェリー・ロペスが出てきて自分たちのサーフィンが時代遅れに感じた時があったりして、そういうのを乗り越えて今の笑顔があるのだと知り、リスペクトの気持ちが増すのでした。

ところで、その『ビッグ・ウェンズデー』、エンシニータスにあるこぢんまりとしたレトロな映画館、La Palomar Theatreで、この7月、再上映される予定です。チャンスがあればぜひ。わたしはウェス・アンダーソンのファンなので、同館で現在上映中の『Isle of Dogs』を観たいなと思っているところです。

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