It made my day

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朝6時に家を出る。海まで片道30分のドライブ。ついこの間まで、道中で空が白みはじめたと記憶しているが、今朝はずっと暗くて、だんだん胸がざわざわしてきた。もしかして、夜は明けないんじゃないか。そんなことを思うくらいの闇。

海に着いてもまだ暗かった。でも、駐車場には何台か車があり、ごりごりとサーフボードにワックスをかける音が聞こえきたので、ほっとした。どうやら夜は明けそうだ。少なくとも、夜が明けないかもしれないと不安に思っている人はいなさそうだ。

海の方に目を向けると、薄暗闇の海の上に数人のサーファーが浮かんでいるのが見えた。波は思っていたより大きい。暗くてうねりの筋はよく見えないけれど、ブレイクする直前に波の壁の藍色がぐぐっと濃くなる。結構、掘れた波だと、それで分かる。

ちょっと緊張しながら着替えて、ボードを抱えて海に向かおうとしたら、隣りに駐車していた車の中から誰かが何かを叫んだ。振り返ると見知らぬおじさまが中にいた。彼はウインクしながらもう一度言った。「Go get some!」。

笑顔で手を振って改めて海に向かうと、今度は遠くで車のホーンが鳴った。音の先を見ると、写真家の竹井達男さんがバンの中から手を振ってくれていた。再び笑顔で、今度は達男さんに手を振り返す。

パドルアウトすると、波は陸から見ていたより大きく感じられ、さらに掘れていた。ゆるりと遠くから気配を感じさせながらやってきて、ラインナップに近づいてくると急にぐわんとピークが移動してきていきなり切り立つ。あ、なんか、もう夏の波じゃない、と思った。

このスポットが小さく、しかし美しく長くレフトに割れる季節は終わってしまったらしい…。 それはわたしにとってBing Surfboardのノーズライダーとのしばしのお別れを意味する。さよなら、また来年の夏ね(その間にディラミの修理をお願いしとこう)。

今日は自覚はなくとも予感があったか、持参したのはマジックボード、マイケルミラーの9ftだったので、自分が乗れそうな波をインサイドもしくはショルダーで狙って、何本か乗れた。

パワフルで速い波だと、まだ手が緊張してかっこわるい。気付いた時点で直しているが、気付いたときはもうクリティカルなところを通り過ぎているので、そもそももう緊張しない。むー、まだまだ練習することは、一生あるな、この調子で。でも、それなりに満足して海を上がった。

シャワーを浴びに行く途中で、さっきの車のおじさんが笑いながら「It made your day」とまた声をかけてきた。Yes, it did!

シャワーを終えて車に戻ると、これから海に出る見知らぬサーファーが、わたしのマイケルミラーのボードに目を留めて足を止めた。「What kind of board is that?」。

これはマイケルミラーというシェイパーで、カスタムシェイプしてもらったもので、とっても万能なボードだと伝えたら、クールだな、おれ、この感じのボード、好きだよ、と返ってきた。

いいな、こういう、知らない人とのやりとり。これだからサンディエゴのビーチは好きだ。

着替え終えて駐車場を出ようとするところで、相方の同僚で、わたしが大好きなIさんが海に出ようとしているのを見つけた。声をかけたら「波が良さそうだから、30分だけ」と、わずか数分の会話の間に「30分だけ」という言葉をまるで言い訳のように3回くらい言っていたので笑ってしまった。

その後、車から出てきた達男さんと立ち話。彼も、もうこの感じはもう夏じゃないね、とにんまりと笑い、これから数日は波が上がる予報だから、本格的に冬のうねりが届く前の練習にいいよ、とアドバイスをくれた。「ピークがぐぐっと動いて掘れるけど、そこでビビらず、焦らず、落ちながらテイクオフする感じ」と。…落ちながらテイクオフ、ひょえー。で、で、で、でできるかな。

でもきっとできるようになる、そんなイメージを描きながら会社に向かう。実はずっと気が乗らず進んでいない制作物があって、その締切が来週であることに焦っていたが、会社に着いて改めてカレンダーを確認したら締切は再来週であった。ほっと力が抜けた。

朝サーフィンしたことと何ら関係ないかもしれないけれど、結果的に、締切前なのに何もできていないと焦って仕事するよりサーフィンをすることを選んで良かった。おじさんの言う通りだ、It made my day。

みんなに酔狂と思われても、朝のサーフィンはやめられないのである。なんせ1日の爽快さが違うから。そして、朝の海に集うのは、同じような嗜好の酔狂なサーファーだとどこかで仲間意識があるので、何気ない会話がいちいち楽しい。全ての会話の裏に「あなたも好きねぇ(サーフィンが)」という気持ちが隠れているような独特の連帯感がある。

昔からずっと自分が属する場所を探してきた気がする。心地よく無理せずにいながら属していることを実感できる場所。それはきっとここだ、そんなことを思った。サンディエゴの朝の海。

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