ローカルの生きる歴史証人、いま70代のレジェンドサーファーたちから聞く、カリフォルニアの昔のサーフィンの話が面白く、また個人的にもサーフィンの歴史や文化に興味があるため、自分なりに学んだことをキーワードごとにアーカイブとして溜めていきたく、Surfing Heritageというカテゴリでブログに組み込むことにしました。
記載するのは独自に調べた情報で、かつ自身が知識を深めたくて勉強のために書いている部分も大きいので、もし事実や認識の間違いがあったり、さらにご存知の情報があったらコメント欄にてご連絡ください。

ジェイコブス 422モデルは、1960年代半ばにJacobs Surfboardsよりリリースされて、当時大ヒットしたサーフボードデザインです。
特徴は、テールにかけてぐぐっと細くなるアウトライン。ウイングといっていいのかわかりませんが、まるでヒョウタンのように、サーフボードのテール側1/3くらいがわかりやすく絞り込まれています。
この422モデルは、新しいサーフボードデザインを次々と生み出し、あのドナルド・タカヤマをハワイからカリフォルニアに呼び寄せた人としても知られるシェイーパー、デール・ベルジーとハップ・ジェイコブスの共同開発と言われています。
Jacobs Surfboardsでチームライダーをしていたサーファー、Aによると、アイデアそのものは、デール・べルジーが持ち込んだそうです。ある日、突然、ベルジーが、422モデルのプロトタイプをジェイコブスのシェイプルームに持ってきて、「俺自身はまだ乗っていないんだが、ノーズライダーとして最高のデザインのはずだから、これを削って売りなよ」と。Aによれば、ベルジーは急なお金が必要だったかなんだかの理由で、自分が削るよりも、アイデアをジェイコブに買ってもらいたかったようです。
その奇抜なデザインと、ことの成り行きに、ジェイコブとチームライダーたちは、はたして本当に機能するボードなのか、かなり懐疑的だったとAは言います。しかし、売り出したところ、爆発的なヒットを記録したのだそうです。
ちなみに、422というモデル名は当時、ロサンゼルス、ハモサビーチにあったJacobs Surfboardsの番地(住所)だというのは有名な話。
その後、ショートボード・レボリューションが訪れ、ショートボードが時代の花形になり、422モデルもJacobs Surfboardsも衰退。ロングボードの人気が再燃してからもかつてのような脚光を浴びることはなく、今に至ります。
ただ、近年では、タイラー・ハジキアンがリリースしたRiddlerというモデルのアウトラインが422を想起させます。タイラーが422を参考にしたのか(そう明言しているのか)は調べきれていないのですが、同じようなコンセプトから生まれたのではないかと想像します。